Sleeping dream

数歩歩いた後、私は口を開いた。


「……抱いて。」


ユウトの足がピタリと止まった。


驚いた顔で私の顔を見ると、

急に真剣な表情になり、私の手を離した。


「冗談はよせよ。」


「冗談なんかじゃないよ。」


この時の私は自分が何をしようとしているのかさえわからなかった。


ユウトは悲しげな顔をしていた。


「愛はそんな事言う女じゃねぇだ ろ?」


「……私の事、嫌い?」


「そんなんじゃねぇよ。」

私はユウトの手を取り、私の左胸に当てた。


そして、目をギュッとつぶった。


一瞬、ユウトの手が離れかけたが、引き戻した。



誰でもよかった。


誰かに触れていたかった。


自暴自棄に陥っていたと言われれば、そうだったのかもしれない。


でも、心の穴を埋めて欲しかった。



ユウトは私の手を振りほどいた。


何かを軽蔑するような目で私を見た。



汚い女って、思われたっていい。


それくらい今の私は崩れ落ちそうだった。





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