Sleeping dream

そのまま後ろに引っ張られた。


気付いたら、私の背中を誰かが支えていた。


「セーフ。」


顔を見上げると、息切れをしながら、笑顔を作っていたユウトがいた。



私の後を追って来てくれたんだ。



ユウトは私の体を起こして、私の服を丁寧に払ってくれた。


「ケガしてない?」


「……」


私は黙って滲むブーツの先をじっと見つめていた。


「大丈夫ならいいんだけどさ。」


ユウトは優しく私の頭を撫でてくれた。


私はどうすることもできず、呆然と立ち尽くしていた。


そんな私に対して、ユウトは問い質すこともせず、側にいてくれた。


「愛、帰ろっか。
 家まで送るよ。」


彼は力無い私の手を取り、駅へと歩き出した。



一人でしないで……



誰かそう思った時、

私の耳元で心の中に住む悪魔が私に囁いた。


冷静に考えれば、自分が誤った道を進もうとしているとわかったはずだ。


でも、この時の私はやっていい事と悪い事の区別もつけられなかった。





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