「だから、あんたたち、木下亜美 は引っ掛かっちゃダメだよぉ!」


レナは男三人に向かって指を指して、大きな声で言った。

三人は“ふーん”と頷いて、缶に口を付けていた。



フォンデュ開始から一時間後にはレナの大好きな噂話に花を咲かせていた。


というよりかは、付き合わされていたという方がぴったりかもしれない。


やれ誰其くんと誰其ちゃんは両想いだの、

やれ誰其くんは女たらしだの、

彼女はどこからこんなに大量の情報を拾ってくるのだろう。


全くもって不思議だ。


「で、何で木下に引っ掛かるなと?」


ユウトがフランスパンをチーズに潜らせながら聞いた。


「あの子、大学生の彼氏がいるん だけど、全部お金目当て。
 まぁ、相手の方も亜美の体目当 てみたいだし、おあいこなのか もしれないけどさ。
 何て言うか、汚れてるよね。
 欲望に塗れてくるといつか沈ん じゃうよ。」


まるで、自分の事を言われた気がして、胸がチクリと痛んだ。


でも、レナの言う通りだ。


自分でもわかっていた。


いつか沈んでしまうんじゃないかと。





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