龍而はあたしの困惑した顔を見て得意げに微笑む
『好きなんだろ!?ちび男が!!…俺、ずっと見てきたから…志穂の顔見ただけで、すぐ分かった。』
駅員が痺れを切らしたのか、電車の扉がフシューと音を立てて閉じる
あたしは思わず電車に近づこうとすると、
今度は龍而が来るなと言う
怒鳴り声にも近い声にそのままの態勢で止まるあたし
電車のミラー越しに龍而は悲しそうな顔をして
発車する電車の中、最後に精一杯あたしに向かって叫ぶ
『俺は、志穂が好きだったよ!!!』
キィー
鋭い音をたてて、電車はあたしの視界から姿を消した
あたしは直ぐさまホームの階段を駆け上がっていく
迷いはなく、ある場所に向かってあたしは走りだす
…龍而、
ちゃんと届いたから
ちょっとくすぐったいけど…
あたしも龍而みたいに素直に真っ直ぐ伝えてみるよ
会長に呆れられようが、
フラれようが…
会長からなにを言われようが
自分の気持ちを伝えることが大切って分かったから
誰かが手を差し延べてくれるのを待ってるんじゃなくて、
自分で。
だから…
精一杯伝えてみるよ
何度も何度もコケたり、引っかけたり
でもあたしは『痛い』の一言さえ言わなくて
ただ一生懸命に目的地まで走ってく
汗が身体中を駆け回り、髪の毛もグチャグチャ、でも構わない
1秒でも早く会長に会いたいっ…



