私の敵はチビ会長




あたしは空を見ることをやめ、きょとんとしてる龍而を見つめる










こんな風に向かい合わせで座って…




色んなこと喋って





バカみたいに盛り上がって








楽しかったなぁ





いまと全く一緒だ











あ…





一つ違う














あたしは感情からくるどうしようもない溢れ出す涙をこらえるように目を細める



龍而のもとにクレープが届いて、あたしを気にしながらそれを受け取る



その姿を見つめながらあたしはまた涙が込み上げていく




隠すように顔を背けたあたしにクレープを手渡す龍而






『はい…おいしいぞ?食べてみて』




コクンと頷き龍而の目を見ないでクレープを受け取る





パク




…おいしい



甘く広がるクリームと果実の味

それを効き過ぎない程度にはまばらにかけられたチョコが舌にはりつく








おいしい…よ?



すぐにそう言えればいいんだけど…







なんで…









なんで…














ココア味なの?







頑張って考えないようにしてるのに…







思い出しちゃうじゃん






















あの時と違うもの…
















会長が、いないよ…












あたしの目の前で笑ってるのは、龍而だもん





会長じゃないもん…













『うん…おいしいっ!!びばうま』

『はは!!なんだよ?びばうまって。びばってどんな感じ?』

『マジの上で、最高の下らへん!!』

『最高じゃねぇんだ!まぁ、食べて?』