でも、あたしは本当はそんなことを冷静に考える余裕はなくて…
動揺以上に心の中が表情に浮き彫りになっていく
龍而があたしが黙っているのを不思議に思ったのか、
紙袋を下ろしながらあたしを見た
その瞬間見開かれた目に少しの隙間が開く口
頬はかすかに桃色に染まった
龍而のその反応を見てあたしは恥ずかしくなり顔を逸らす
心臓が痛いくらいせわしなく動く
嫌な汗がいっぱい出てきて胸の辺りがポカポカしてきた
こんなにも、会長のことで取り乱すなんて…
考えてもなかった
気にしてないと思ってた、
あれは夢として自分の中で、会長がなにも言わなかったことで終わったと思ってた…
なのに…
人に会長のことを話されるだけで、
会長が近くにいるような感覚に陥っていく
黙り、荒い息遣いのあたしに龍而がため息をついた
『…なんつう顔してんだよ。…もぅいいから、俺の前でそんな顔しないで?』
繋がれたままのあたしの手をギュと強く握る龍而
あたしはなぜかなにも聞くきになれなくて、
龍而に握られてた手は力無くダランとなっていた
空気を変えるかのように今度はクラスのことを話す龍而
あたしに気をつかってくれてるのかもしれないけど…
正直ありがたい…
『みやっちさ、女出来たらしいぜ!』
『まじ!?みやっち頑張ってたもんね!!』
『えっ知ってんの?誰、誰?』
『言わないよ〜。考えたら分かるって!!』
『こうさーん。分かりません!言ってよ?』



