私の敵はチビ会長








『ありがとうございました。』










綺麗にほうようされた紙袋を手にぶら下げて、あたしはウキウキしながら歩く





会長に見せつけるっていうのもあれだけど…



驚いてくれるかなぁ



会長は絶対驚くに決まっていて、みたこともないペロキャンに会長が黙っているはずがない



少年みたいにワクワクに満ちた眼差しの顔が思い浮かぶ







会長の反応を楽しみにして、あたしは龍而に連れられクレープ屋に急ぐ


なんせ、人気店だから売れ切れがざらにあるらしい



dbyyで時間をとられちゃってお腹があまり空いてなくても関係なく急がないといけたい





龍而の大きい歩幅に合わせるように小走りになる



少し疲れた顔を見せたあたしに龍而が気づいて歩幅を縮めた




『ごめん…早すぎた?持つよ。』

『ううん!!大丈夫!でも、頼もっかな?』




心配してくれる龍而に笑顔を向けながら、紙袋を手渡す



龍而は『無くさないように気をつけるよ』と言って微笑む








なんか…無くしそう




あたしは心の中でそう思ったけど、苦笑いをしてごまかす







龍而はあたしから受け取った紙袋を上に上げて見つめると、


そのまま視線を逸らさずに静かにつぶやいた














『…これ、志穂が食べるのか?』

『え…うん!!あたし好きだからっ…』

『あの、ちび男にじゃなくて?』




へ?ちび男??



一瞬思考が停止したけど、会長と龍而とあたしの3人でいた時を思い出した




確か…


龍而は会長のことちび男って呼んでて、


会長は龍而をでか男って呼んでたような…





だからなんの違和感もなく会長のことを龍而は【ちび男】って呼ぶんだ