『よぉ。おつかれさま〜』
『おつ〜ッ!!あ、いっくん自転車かっこいい』
『お、よく見てるな。…志穂、ちょっと来い』
沙織に無邪気な笑顔をむけたあと郁さんは目であたしを促した
正直、いい予感はしない
重くなった空気に沙織が不安そうな顔をみせる
郁さんは自転車を引きながらあたしの腕を掴み近くの脇道に引っ張っていった
少し薄暗くじめじめして臭いその道は長くいると気持ち悪くなる
口を抑えると、郁さんも同じことを考えていたのか苦笑いをした
『くっさいな…?』
『はい…。』
『…話ってのは、あの噂のことでさ』
自転車を壁に寄り掛かけて、真っ直ぐにあたしを見つめる
間を開けると、なぜか郁さんは気まずそうに俯いた
な、に…?
嫌な予感がする…
あたしも顔を歪ませて耐える
『…あ、れさ…聞いたの…恭哉からなんだよね。』
目の前が真っ暗になる
【…恭哉からなんだよね。】
嘘…でしょ?
苦々しい顔であたしを上目遣いで見る郁さん
それが妙に神妙な顔で、事実なんだと悟ってしまう
な、んで会長…が?
そんなこと…
頭が痛くなって頭痛がする
うまく考えられない
『ははっ…郁さんたら、からかわないでくださいよ?本当のこと言ってください』
あたしは郁さんが冗談でも言ってると思って笑いながら郁さんの目を見ようしたけど
目が合わない。
郁さんがあたしと目を合わせないように俯いてるんだ



