そう思いながらがん見しつづけてると、女の子の体が小さく揺れるように動く





え…


目覚ました?




驚きでビクッと体をこわばらせる




さっきまで動かなかったものが急に動き出すというのは、なんとも不気味だ



それが人間だとわかっていても驚いてしまう





鳴り響く心臓を手で押さえ、もぞもぞと動き出す女の子に視線を送りつづける






『…んっ…ん?』

『ど、どうも…?』





ばっちり合ったあたしと女の子の目



ぽけーっと瞬きを繰り返していた目はだんだん冴えてきて見開く




あたしは怖がらせないように精一杯笑顔を作った




…てか、怖がってるよね?




あたしの姿を見据えたまま固まってしまった女の子





え…?


どうしよ



ちゃんとあったことを話すべき?




自転車のこととか言わないといけないよね





…ていうか!!



まずは怖がらせないようにしないとっ!!!








『あ、あのね?…あたし。小出志穂って言うんだ!!』

『えっ…あ、私は…東瞳亜姑(トウドウ アコ)と言います。』



慌てたようにあたしの自己紹介に女の子は必死に返してくれた



軽く頭を下げた女の子はあどけなく笑ってみせる





か、かわいいっ!!!



笑ってときの小さくできるえくぼがなんともキュート



それに、寝ていたから気づかなかったけど、目が二重ですっごく大きい



自然とあふれる笑顔をあたしも女の子に返す





あたしの笑顔で悪い人じゃないと分かってくれたのか、


女の子の振るえが止まっていく




よかった。





ホッと肩をなでおろしたそのとき




『きゃっ!!』

『なっなに!?』



悲鳴を上げる女の子に急いで駆け寄る




そして女の子が指差すものを見たとき、


あたしの顔色が悪くなったのが分かるくらいの汗が出てきた