私の敵はチビ会長





『…っうっ…ひっく…』




嫌…



こんなところで泣きたくない



これ以上、こんな弱いところ見られたくない




でも、意思関係なく流れてくる涙を止めるすべはないんだ




どんなに目をこすっても止まらない…



どんなに気持ちを静めようとしても溢れてくる







横に座る水城さんは優しくあたしを包み込む



抱きしめられて驚いたけど、水城さんの悲しげな表情を見たら抵抗する力も薄れた




だから、水城さんの腕の中で思いっきり泣く






…どうして?



どうしてこんなに優しくしてくれるの?



電話であたしたち言い合ってたのに…




このときの水城さんの気持ちが分からなかった















『…泣き止んだ?』

『…はい。有難うございます』




顔を上げるとさっきまであたしが顔をうずめていたところがびしょぬれ



たぶん、涙で濡れしてしまったんだろう





『わっ!!ご、ごめんなさい!』

『え?あーいいよ?こんな服でよければいつでも濡らして?』




濡らされたのになぜかよけいに笑顔になった水城さん



本当によかったのかな…?


なんか悪いことしちゃったな




この年で思いっきり泣いたうえに人の服汚すって…



あたし、駄目だな〜…。





泣いた目をこすりながら落ち込んでいると目の前に手が伸びてきた





…?




『…もう遅いから私の家に案内する。きて?』

『え…?家?』

『だってもう9時よ?家に帰れないでしょ?私の家に泊まっていきな?』




戸惑ってるあたしの腕は強制的に掴まれて歩かされる




えっ?ええ!?


家に行くの?