『…ねェ?』
『…は、はい。』
不機嫌そうに机に肘をつき、あたしを下から覗くように眺める
顔がすぐ下にあって、あたしは顔が赤くなる
その視線が恥ずかしくてわざと目を逸らす
会長はふぅとため息をつく
すこし低い会長の声があたしの耳をくすぐる
またビクとなるあたし
こんなことでいちいち反応するのが、とても悔しい
『志穂ずっと気になってたんだけど…志穂の好きな人って…田中?』
『…はい?』
意味不明すぎて声がでない
あたしは呆れた目で真剣な顔の会長を見る
会長はあたしの視線に動揺してて、まさかこんな反応が返ってくるとは思ってなかっただろう
はぁ〜…
会長って超鈍感。
なんであたしの好きな人が田中先生になるわけ?
確かに田中先生は教師のなかだと断トツでカッコいいし、人気もある
若くてあたしと7違うだけでお兄ちゃんにだってなれるぐらい
あたしの友達のなかでも田中先生に思いを寄せる子だっている
でもあたしは教師…
大人が苦手だから田中先生も嫌い
『…なんで田中先生?』
『いや…だって。田中かっこいいって言ってたし…』
『…へぇ?かっこいいって言ったら好きになるんだ?』
棘のある言い方に会長も少しすね気味
『そこまで言わなくても…』とか言って顔を逸らしてる
プッ!!
面白!!!
さっきまであんな不機嫌そうにしといて、急に笑ったあたしに会長はもっと眉を曲げる
『なんだよ?』
『別に?』



