『…ヤバいんだよ。とにかくヤバイんだよ』
呪文を唱えるかのように俯いて低い声を出す男の人
こ、怖いんですけど?
少々怯えながらその人を見ていると会長が目を覚ましたらしく、モソモソ動き始めた
『か、会長?大丈夫?』
『ま…あ。』
『〜っ!!恭哉ぁ!!』
『どわっ!?』
あたしがまだ虚ろな会長の背中を擦ろうとしたらもう会長の姿はなかった
…え?
叫び声が最後に聞こえたほうへ目をやると
男の人が会長を押さえ込んでいた
ジタバタするけど動けない会長…
まるで子供がじゃれてるよう
半ば呆れながら会長達をみるあたし。多分その目は哀れみもこめていた
『っつぅ…なにすんだよ!!吋架!』
『なにじゃねぇよ。働け責任者!!』
そう言ってどこから取り出したのかは知らないが、
吋架さんの手には黒い服が
困惑していた会長もその服を見て目を見開く
なにそれ?
キョトンとするあたしとは違って会長は口を開けワナワナ震えだす
『早く恭哉!!着替えろよ?』
『はぁ?いま俺志穂といるし…』
言い訳がましく、服と吋架さんから視線を外した会長
早く立ち去ろうと帰る準備をしてる
会長があたしに視線を向けた時、吋香さんの口元がニヤリと動く
そして、甘い声でつぶやいた
『へぇ〜…やっぱ、恭哉の女なんだぁ…』
は!?
あたし達は同時に目を見開いて吋香さんを見る
な、な、なに言ってんの!!?
冗談だと分かっていても、顔が反応して赤くなる
『はぁ?ちげぇよ。勘違いすんな』
会長はより不機嫌そうな顔でめんどくさそう
でも、吋香さんは楽しそうにあたしと会長を交互に見て、ニヤけてる



