『…さ。着いた。遅いけど朝飯食ってく?食べてないだろ?』
長い道のりを経て、やっとある店の前で止まった会長
さっきとはうって変わって楽しそうな笑み
…そりゃ可愛い女の子と話せて嬉しいよね
嫌みったらしく心の中で毒づくと、会長の問いかけにコクリと頷く
多分顔は不機嫌極まりない感じ
一瞬会長の顔が引きつったけどすぐに笑顔になって微笑む
…ずるいな…
不覚にも会長の笑顔に顔が赤くなった
あんなにイラついてたのに会長の笑顔を見た途端その気持ちが一気に消え
嬉しさしか残らない
『じゃ、はいるよ?』
『うん…。』
会長は綺麗な扉に手をかけぐるっとまわしていく
あたしはその仕組みにはんぱなく驚いた
口元を強張らせ、目を大きくする
だって扉が回ったんだよっ!?ありえない!!
あたしの驚き顔を楽しそうに見つめると会長は
扉をあけて入っていった
あたしもそわそわとその後に続く
『…すご』
思わず開いた口から声がもれる
中は外の環境とは全く違って神秘的空間に満たされていた
カーテンをパステルカラーの布で被い、電気の変わりにランプが使われていて
一つの空間を演出したいのか何個にも部屋に区切ってあった
会長はそれをまるで知っているかのように平然と通り過ぎる
その神秘的な空間に目を奪われていると男の人があたし達のほうに近づいてきた
『いらっしゃいませ…って!!恭哉ッ!?』
『よ。』
案内係と胸にかかれた男の人があたし達にニッコリ微笑んだと思ったら、
会長を見て声を上げる
会長はそれをさも嬉しそうに挨拶を交わす
…あ、知り合い?
驚いて会長の影に隠れようとするも、背が小さくて入りきらない
…ちっさ



