私の敵はチビ会長








『…こ、これってッ!?』

『うん。』

『な…なんでゆずの歌が流れてんのッ!!?』




興奮気味に志穂が叫ぶもんだから、みんなの注目の的に



クスクス笑う人もいれば






『あっ、あれ!!藍川くんじゃないっ!?』

『本当だぁ〜♪王子様だぁ!!』

『王子様っておかしいよ!?恭哉くん!!』




って俺の名前を馴れ馴れしく呼ぶ奴もいる



恭哉くんって…俺、お前のこと知らないんだけど?




しかも、王子ってなに?





でもそんな失礼な奴らを無視してまだ興奮冷めないって感じの志穂を見る






『今日さ、けっこーうまいプロのバンドがきてて、そいつらがゆず歌うっていうから…』

『えぇ!?マジで?すごい嬉しいッ!!』




俺の肩をドンドンと叩く志穂の腕をはらいながら



俺も嬉しそうにつぶやく






『志穂ってそんなにゆず好きなの?言ってんのは知ってたけど…』

『うん!大好き♪』

『へぇ〜…じゃあ……ライブ行く?』





さりげなく言ったつもりだけど



本当は心臓がすげぇ〜バクバクいってる




女子をこうやって誘うのも久しぶりだし、




なによりあの志穂を誘うんだからより緊張…



断られたらどうしよ…




…マジ恥ずい。





志穂はステージに食い入ってて、俺の話なんか聞いてなさそうだったけど





コクッと頷いた