なんで?
てか、気づかない俺も、俺だけどさ…
不思議な気持ちでいっぱいだったけど
スーテージにお客がいっぱい集まってきて
そろそろ始まりそうだったから、ボーっとしてる志穂の手を引っ張り
中央の客席へ連れてった
『よいしょ』
おじいちゃんみたいな掛け声で木で作られたイスに腰を下ろす
俺の隣にはそわそわして困惑してる志穂がいて
周りを見てビクついてる
…プッ
ガキかよ?
志穂に見られないように影でそっと笑いをこられる
派手な音楽がなって引き寄せられるように顔をあげた
最初の発表は2人組のお笑いコンビ
お笑いはあんま好きじゃないし、興味ないから
適当に見ていた
けど、志穂は一生懸命、真剣にその2人を見ていて
たまに挟むスベリボケにも笑っていた
へぇ〜…
お笑い好きなんだ…
志穂の新しい一面を知ったみたいで
なぜか、とても嬉しかった
いつのまにかステージじゃなくて志穂を見ていた
だけど、
志穂の反対側の一個空けた隣の席の男達が気になる
こっちのほうをチラチラ見ていて、たまにニヤついたような笑みをこぼしている
…なんだあれ?
細めで睨むように見るとそのなかの一人の男に見覚えがあることに気づく
金髪に髪を染めているその男は…
昨日志穂ともめていた男だった
『…あいつ…』
俺に気づいたのか挑発するように見てから
志穂を見てなにやらコソコソと内緒話をする男達



