そっとそうつぶやき、
閉じていた目をゆっくりと開く
目の前には顔を真っ赤にして突っ立てってる志穂の姿
まるでマンガみたいに真っ赤なんだから思わず笑みがこぼれてしまう
そんな俺を見て怒ったように口元をワナワナと揺らす
それがまた面白くてついつい噴出す
『ハハハッ。ごめんっごめん!!』
『うっさっいチビ。』
『はぁ?チビっておまえもだろ?』
『会長よりちっさくありませぇ〜ん。』
挑発するように俺のコンプレックスをぐさぐさ言ってくる志穂に
ムカつきを隠せない俺は口をとんがらせる
『へぇ〜?遅れてきといてずいぶんな言い草だな?』
『…うっ。』
反論したくてもできないのか言葉を詰まらせる
俯く志穂を見て口元を少し上げると
ふと時計に目が行った
『は…?』
俺は時計の示す針を見て目をまるくする
時計はもう11時を指していて
あたりにはきたときよりも人が多くなっていた
2時間も俺は寝てたのか…
『なぁ…』
『は?…え、なに…』
グイッ
志穂の手を引っ張るようにして大勢の人だかりを抜けていく
志穂はいきなりのことですごい混乱したような顔をしてるけど
もう俺は焦ってて無視して走っていく
『ちょっ?会長どう…』
あえぎながら必死に俺に話しかける志穂を見て
ふいに走るスピードを緩める
肩で息をする志穂は本当に苦しそう
でも俺には心配してる余裕がないんだ…
どうしても志穂に見せたいものがあったから



