「お前にも、逆鱗はあるのだろう?」

突撃する龍を前に身を屈める。

「喰らえ!」

龍の顎にアッパーカットをキメる。


幸大の拳は一枚だけ他とは向きが逆さになっている鱗を正解に撃ち抜いた。



「オオオオォォォオ」

龍がさらに暴れる。


「グングニルの槍!」


水柱が槍として龍を襲う。


フワッ、


龍に当たる寸前で光になり消える。


「やっぱり、神に神器は使えないか。」


「オオオオォォォオ」

さらに突撃する。


「纏いたまえ!」

ブワッ、

幸大の服が袴と羽織りに変わった。

右手には扇子を持ち、突撃する龍に扇子だけで対応する。



「無礼を承知でお相手致す。」

ヒュッ、

高速移動。

ドッ、


扇子による突き。


「オオオオォォォオ」

バシャッ、

波が襲う。

バッ、

扇子を広げると見えない防壁が幸大を守る。



「ハアアアアァァァァァァ!」

「オオオオォォォオ」


ドパァンッ、


互いの渾身の一撃がぶつかり合い、海に波紋が大きく広がる。



フッ、

突然夜が終わった。



「正気に戻ったか?」

そこには、海から首だけを出した黒龍と元の衣装に戻った幸大の姿があった。