土曜

彼らは大きな屋敷の前に立っていた。

「ここが、か。」

家を眺めてると、人が出てきた。

「何者じゃ?我ぇ!」

明らかに堅気ではなさそうだ。

「この屋敷にようなんか?」

「わかりましたか?

ここに来たくなかったわけが。」
「ええ。」


「何ば、こそこそやっとんねや!」

「木口さん!」

楓の声が男を止める。


「この方たちが、昨日話した友達です。」


「な!?

そいつは失礼しました!

お嬢さんのお友達とはつゆ知らず、なんと詫びれば良いのか、」


「木口さん、謝罪はその辺にして、沖田さんに行く準備ができたと伝えてください。」


楓が門から姿を現した。


「承知しました!」


屋敷に駆けていく。

「ごめんなさい。

せっかく来ていただいたのに。」

「確かに、驚いた。」


「お嬢さん、車の用意ができました。」

横に、黒塗りのリムジンが止まる。


「リムジンなんて初めて乗ったぞ。」


「私もよ。」


遥かに長い時を見てきた幸大と常盤にも初めての体験だったようだ。