「さて、あんたたちの切り札は消えたわ!

おとなしく投降しなさい!」


「ハハハハッ、切り札?

あれは事を円滑にするために用意したモノに過ぎない。


本当の切り札は俺自身だ!」


「圭吾君、奴の能力は?」

「彼は多重能力者、彼の能力は多数あります。」

「多重?

厄介だけど、似たような能力者ならこっちにもいるわ。」


「ハハハハッ、

多重?少し違うな。

俺の能力は、複製、つまりコピーだ。


俺の多くの能力は他の奴らから盗んだんだよ。」


「なっ!?

それが本当なら、さっきの完全獣化を真似されたら…」


「真似をされる前に潰すぞ。」


「風刺!」

「雷鳥!」

「不動明王焦手!」



バシャッ、

敵が水しぶきをあげ、

「消えたのか?」

風牙が捜す。

「下です!」

圭吾の声に反応した瞬間、

ドスッ、

「カハッ、」

水の槍が地面から飛び出し、風牙の腹を貫く。


「風牙!」

幸大が駆け寄る。


「すまぬ。

…抜かった。」


「それより、奴を倒せ。

幸大ならできるのだろう?」


「…少し待ってろ。

常盤、傷口をふさげ。」

「解ったわ。

だけど、幸大、私達がこの世界に干渉し過ぎるのはいけないのよ?」

「フッ、安心しろ、そんなのは百も承知だ。」