「先程、この世界をおおよそ気にいりました、と言いましたが、

やはり、この世界を完全に気に入ることはできません。

むしろ、たった二点のせいで、僕はこの世界を気に入ることができないんです。」


「その二点とは何か、お聞かせ願えますか?」

「ええ、もちろん。

1つは、ここが夢の世界であること。

まぁ、これは多少の難点でありますが、ここに僕の意見が反映されない、程度のことです。」

「つまり、もう一点が、最大の問題だと?」


「ええ。」

「それは一体?」

スチャッ、

圭吾と偽者が両手にナイフを構える。


「簡単で、でも、僕にとっては重要なことですよ。


会長の横にいるのが…」

圭吾が走る。

「僕以外の人間だと言うことです!!」


「クッ、」

バシュウッ、


偽者が消えた。


「圭吾…君…」

「失礼しました。

僕らしくない姿をお見せしました。


ですが、これも僕自身です。」

「その、ありがとう。」

「どういたしまして。

さて、そろそろ起床しましょう。」

「…うん。」

「夢から覚めるのが嫌ですか?」