「はい?」 言葉を詰まらせて喋る私に、山南さんはお茶を飲みながら不思議そうに返事をした。 「お願いがあるんですけど、」 「お願いですか?」 「はい。 私に…字を、教えていただけませんか?」 思い切って言うと、山南さんは少し驚いたような顔をした。 「字をですか?」 「やっぱり、駄目ですかね…」 少なからず希望を抱いていた私は、頭をうなだれた。 *