家を飛び出してから一時間近く。
あたしは冬空の下をただ歩き続けていた。
と、その時……
『のぞみ!!お前なにしてんねん!?』
星を抱えながら、隼人があたしの目の前に現れた。
『隼人……仕事中やろ?何やってんの』
『お前何やってんのちゃうやろ?会社着いてまだ時間あったから家に電話したら泣きながら星が電話に出てママがいなくなったとか言うし』
『それで帰ってきたん?』
『帰ってくるやろ、普通。しかも帰ったらほんまにお前おらんし星は一人で洗面所で泣きながら下半身スッポンポンでパジャマ洗ってるし』
『………』
こんなに怒った隼人の顔は、久しぶりに見たような気がした。
『俺、すぐ会社戻らなあかんから。とりあえず家帰ろう』
黙りこんでいたあたしに、隼人はそう言うと後ろ側に回りこんであたしの肩を抱くようにそっと手を乗せた。



