『めっちゃ降りそうやなぁ』
ぽつりとつぶやいたあたしは、立ち上がってベランダへと近づき、降り出した雨空をじっと見つめた。
なんだか嫌な雲。
土砂降りにでもなりそうな、そんな空気。
そう思ったその時―――
リビングのテレビに気象ニュースの速報テロップが流れていた。
大雨洪水警報―――
時々こんな警報は、この日に限らず速報で目にすることがあった。
だから……
そんなに気にするようなこともなかったはずだった。
なのに……
この時何故か妙な胸騒ぎがして。
空をじっと見つめていたような、そんな気がする。
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