『自衛隊かレスキューでも乗ってるかな?』




マコちゃんは小さな声でつぶやくと、窓を開けて空に向かって大きく手を振っていた。





『でも外の水、かなり引いてるやん。ちょっと階段見てくる!』




里沙のそんな声にあたしも一緒に一階へと繋がる階段に向かった。






『だいぶ引いてるやん』


『うん…』





昨日は真ん中より上あたりまで浸水していた階段は、かなり水がなくなっていて、下から四段目あたりまでになっていた。






『歩けるかな…』


『いけそうやな』




あたし達はそんな言葉を交わすと、茶色い泥水の中へと足を下ろしていった。



一段一段。



降りていく階段。



冷たい水が、体中を冷やしていく。