「ねぇ!」


あたしが声を掛けると彼は寝ぼけた声で「え?」と返事をした。



「あたしはナナミの携帯、あんたとは色違いね。縁あって出会ったんだから仲良くしようね」

そうそう、出会いって本当に大切だと思うわ。
一期一会なんて言葉があるように。
あたしなんて一発検索できる。
それだけ大事な事ってわけ。


「ナナミ…?ちょっと待って、データ出すから」

彼はゆっくり喋った。
天然なのかな?


「あ〜あった。ナナミ。彼女ってフォルダに入ってる。あんたがナナミの携帯なんだ…僕と同機種?」


「そうみたいね。身体についてるストラップもお揃いよ」


「本当だ。まぁ…え〜と…よろしくでいいのかな?」

何よ、その歯切れの悪さ。ちょっとカチンとくるんですけど!


「あなた普段からそんなタイプなの?機能ちゃんと動くわけ?あたし達は多機能、高画質、デザインが売りなのよ。自覚あるの?」


彼はへーと言う顔であたしを見ている。


「何よ」


「ナナミの中にあるリュウタの情報教えてよ」


「え?何でよ?」


「ちょっと気になる事があってさ…」


どういう事?

何よ気になるって。


あたしは自分の中にあるリュウタの情報を隅々まで読み込んだ。