黒い大きな犬

息子ハムスターの周りはさらに酷いものだった。僕が片していると、「ウヒョ!」と彼が肩に乗って来た。
「なぁに探してるんだろなあ」
彼は意味も無く楽しそうだった。若さに溢れ、健康的で悩みなどなさそうだった。しかし今の彼に無いのは名前で、それを僕は探さなくてはならない。
「お父さんとさ、この家以外ではどこで過ごしてるの? 近くに遊ぶ場所とかはないのかな」
彼は少しの沈黙を作り、「ウヒョ! そんなもんないさあ。だってとうちゃんここから出れないもんねぇ。ねぇねぇ。ビョーキだからさあ」