黒い大きな犬

「私のことか? お前には判るまい。私が誰かなんて、そんなことどうだっていいんだよ、名前を持たぬ坊や」
どこからか声が聞こえる。とてつもなく遠くからのように聞こえるし、それと同時に真横から聞こえる気もする。僕には距離感がうまくつかめない。