私は駅前の花屋で足を止める。
すると、アイツが気付いて
手招きをしてきた。
「おう、待ってたぜ」
「…遅くなっちゃった」
「いや、いいんだ。
色々…考えてたろ?」
コクン、と私は頷く。
この人は花屋"Amour(アムール)"の
店長の息子、池山 葉(ヨウ)。
私の幼なじみであり、
…光汰の、親友でもある。
「ん、コレ。いつものやつ」
「ありがと」
「んで…あと、コレ」
葉は何かゴソゴソと探し出し、
数本の白い花を差し出した。
「まさか…"カサブランカ"?」
「やっぱ知ってんだな!」
「当たり前だよ…。
だってその花、光汰が
私の誕生日の時にくれた、
誕生花だから…」
