「はあぁー」
寒くて手がかじかむ。
手袋はめてくるべきだったな。
まだ11月中旬だというのに、
まるで冬の寒さみたい。
このままでいったら、
真冬は危険な気がする…。
「あはは!くすぐったいよぉ」
前方からやけに甲高い声。
足元にあった視線を、
前へとうつす。
こっちに向かってくる、
腕を組むカップル。
「いいじゃん。暖けぇんだもん」
「も~っ!仕方ないなぁ」
彼女は更に彼氏とくっつき、
2人は笑いながら歩いて行った。
私は後ろを振り向く。
微笑ましい…
いいな…
ずるいな…
たくさんの感情が生まれ、
次第にプツン、プツンと
音を立て消えていく。
――光汰じゃなきゃ…。
私の気持ちは、
1年前から…動かない。
