―――……


『んなぁあにぃいーーっ!?』


「うにゃっ」


電話越しの大声は……難聴の元です。

…ってほどにうるさい。


『美紅に彼氏!? 聞いてないんだけど!』


「そ、そんなあたしに言われてもー…」


あたしだって今日聞いて……びっくりして慌てて杏子に電話したんだよ。

でもやっぱ、杏子も知らなかったんだねー。


『くっそー美紅のやつ…。それで昨日の高笑い…。人の不幸は蜜の味ってやつね?』


高笑いって!!

蜜の味って!!

一体なにがあったというんだ…。


『あ…。ま、待って? じゃあ…なに、あたしだけ? 一人なの!』


「さー…」


どうなんだろうね。

あたしも似たようなもんなんじゃ…。


ふとマイナス思考になりかけて、ふるふると頭を振って追い出した。


杏子は最後までぶつぶつ言っていた。

きっとこの後…美紅ちゃんに責めるような勢いで根掘り葉掘り聞くんだろうな。


パタンと携帯を閉じ、リビングへ降りた。