――悠由サイド――
あたしも、この数ヶ月で成長したらしい。
ただ泣いてるだけじゃダメだってことにちゃんと気付けた。
すっくと立ち上がり、涙をゴシゴシ拭く。
すぐ謝って……ちゃんと話せば、分かってくれるはず。
そう信じて屋上を出ようと扉に手をかけた。
「にゃああ!?」
手をかけた……だけなのに。
なぜかひとりでに扉が開いた。
「あ…」
……はずは、なかった。
向こう側から取っ手を引いたのは、他でもない先輩。
「せ、先輩……」
びっくりして思わず後ずさってきた。
先輩は黙って、一歩一歩歩み寄ってくる。
なにも言わないのがなんだか怖い。
こくっと喉を鳴らし、足を止める。
「……」
カシャン…
「っ……」
槙野くんがやったように、フェンスにあたしを押し付ける。
一瞬…顔の横にある腕が槙野くんと被ってしまった。

