急速に脈が速まっていく。

これまでにないほど動揺した。


「っ…!」


見ら…れた……!?

いつから?

どこから?

うそ……!


「先ぱ…」


「あいつ?」


「えっ……」


「例の。あいつ?」


…単語を投げかけるだけ。

あたしや薫さん以外の人みたいに、単語を投げるだけ。

先輩……怒ってる。


唇が震え、なかなか言葉が出ない。

それでもなんとか、搾り出した。


「そ、うです……で、でも…!」


「…そ」


「っ! 待って…!」


行かないで。

行かないで。

お願い。怒らないで!