けれどそれは、一瞬で。
何かを考える間もなく、ぐいっと顔を近付けられた。
「!」
「…近くで見るとさぁ…。ホント可愛いよね? この肌…触りたくなっちゃう」
「っ! や、やめて!」
頬を撫でられ、慌てて彼の胸を押した。
「っつー…」
「あっ……ご、ごめん…」
とっさに謝ってしまった…。
…けれども、あたしが謝るより前にー…。
「……!」
「え?」
チラリとあたしから見て左側を一瞥すると、ニッと笑みを浮かべた槙野くん。
なにかとそっちを見ようと首を回した。
「…!?」
…いや。
正確には、回そうとした。

