もう、「好き」の一言じゃ足りないくらいに。
大好きなんだ。
…ってまあ、さすがにこんなこと恥ずかしくて言えないけど…。
「……」
「なに照れまくってんのよ」
「そろそろ行くよ悠由」
襟元をつかまれ引っ張られながら…苦笑している美紅ちゃんに手を振った。
「ばいばーい!」
「ば、ばいばい…」
教室に足を踏み入れると同時に、チャイムが鳴った。
「ほらぁ。いつまでもあんたが惚気てるから。ギリギリだったじゃない」
「え、あたしのせい?」
そ、そうなの…?
だって連れてったのって杏子だお。
言おうかと思ったが、もう杏子は自分の席に座っていた。
仕方なくあたしも席に戻る。
「よー澤村♪」
「あ、槙野くん。おはよ…」
……。
にこやかに「おはよう」言うところだっけ。

