っち、違うってほら!

証拠隠滅だよそうだよそうなんだ。

だからほら、そんな甘~い空想では…。


昨日の夜のといい、朝ごはんといい。

あたし一人にしては多すぎるでしょ?

だからほら、証拠隠滅だよ。

勝手に人を泊めちゃったんだもんね…言い訳が難しいし!


「…うんうん」


語りかけるように自分に言い聞かせ、納得して頷いた。


「…やっぱヘン」


がぁんっっ。


「ううっ……さよなら先輩また明後日…」


「…ん。サンキューな」


お弁当箱の入った紙袋をちらりと一瞥し、言うと。


「!」


ちゅっと触れるだけのキスをし、逃げるように帰っていった。


「……」


…まるで、ひゅううっと心の中を風が吹き抜けるよう。

本当に……新婚さんみたい…❤

どうしよう…すっごいドキドキしちゃう!


唇を軽く押さえたまま、なんと那智兄が帰ってくるまでずっと玄関先に立っていた。

おかげで、「うおっ! …おま…なにやってんだよ」と驚かれてしまった。