「……」
「……」
歩き出してからも、再び考え込むあたし…。
またヘンな方向に行かないように、しっかり先輩の服をつまんで。
「んー…」
かるーくこう…『せんぱ~い♪今日お泊りしてきませんか?』みたいな…。
『夜ご飯うちで食べましょ』とか…。
けして誰もいなくて寂しいからとかそういうのはバレないようにー…。
「おいっ…ちょ……」
「へ? …あ」
もう家に着いているのに、立ち止まった先輩の服をつまんだままどっかへ歩こうとしていた。
パッと手を離し、そそくさと門の前まで戻る。
「お前今日いつにも増してヘンだぞ。まさか例の男になんか…」
「い、いえ。そういうんじゃないんですよ」
……。
「っていつにも増してって」
なにそのいつもヘンみたいな。
「いつもヘンだろ」
「……」

