先輩からは顔が見えないのをいいことに、思いっきり顔をにやつかせた。


「…先輩」


「……」


「せんぱーい?」


「……なに?」


ひょこっと顔を覗かせて、下からじっと先輩の目を見据える。


「あたし……ずーっと先輩だけが大好きです」


そう言って、笑ってみせた。


「……」


すると、またまた固まってしまう先輩…。

最近この人面白いよね。

なんか変わったよ、うん。


「……」


口元に手を当て、ぷいっと顔をそらしてしまった。


「あっ。せんぱ~い…」


「…っお前……さっさと飯食え」


しっしっと払う仕草をし、完全にそっぽを向く。


「……ぶう」


唇を尖らせたものの、その通りだ。

もう残りを食べている時間すらまともにない。

適当に好きなものだけ口に詰め込んで、お弁当箱をしまった。


「そいじゃ先輩!」


お茶で口の中の物を流し込み、手を振って屋上を後にした。