――悠由サイド――


夏風邪はしつこいし心配で、もう一泊申し出たあたしは、本来ここに来た最初の目的を思い出した。


「こんなときになんなんですがぁ…」


また忘れてしまわないうちにと思い、バッグを漁ってストラップの入った小さな紙袋を取り出す。


「これ」


「?」


「あの……お恥ずかしながら、買ったの一ヶ月前でした…」


「一ヶ月前て」


ベッドに座っている先輩は、ガサガサと袋を開け中身を手に取った。


しばらくそれを見つめると、無言で机においてある携帯を指差す。


「……?」


えーっと。

どうしろと……。

あ、取れってことかな?


「はい」


渡すと、器用に紐を通し、あっという間につけてしまった。


……あたしなんてそれ一個つけるのに何分もかかったのに。


真ん中の石の意味は、言わない。

そんなことそんなこと……。


…恥ずかしくって言えないっっ❤❤