待って…待って。

そういえば、ちょっと前からヘンだった。


まずいきなり教室に来た日。

あの日から、時々…。


ヘンなこと言ったり、こないだなんてなんか四季を語ってたし!


「先輩…なにかあったの? どうしたの?」


あたし…気付いてあげられなかった。

先輩は、どんな小さなことでも絶対見逃さないのに。

あたしは、先輩のサインに気付かなかった。


「ご、ごめんなさい…」


「……なんで謝んの」


今日初めて、先輩が声を発した。


「だ、だって…。だってあたし…」


「なあ」


「えっ…」


「……」


なにか、言い難いことなんだろうか。

口を噤むと、眉をしかめて床を睨む。


「先輩?」


「……中、入ろ」


「あ、うん…」


誤魔化すように言うと、あたしが落としたバッグを拾って一足先に奥へ引っ込んだ。