――それから数日後のことだった。

未だイルカのストラップを渡せず、どうしたものかと唸っていたとき。



『今から来い』



とのお呼び出し…。

また急な…。

お盆前のこのときに?


「ええと」


とりあえず…コレ持って!

てか着替えないと! さすがにこれじゃ行けない…。

ママのお下がりワンピ…。


バババババッとものすごいスピード(自分の中では)で支度をすると、忘れずにストラップを掴んで家を飛び出した。

まだ午前中だ。

那智兄も文句は言えまい!

いくらいつの間にか会っていたらしい先輩のとこだって言っても!



ピーンポーン



走っていったおかげか、いつもの三分の二くらいの時間で着いた。


ガチャッと鍵の開く音がする。


「……?」


でも、扉は開く気配がない。


「……」


どうしよっか。

先輩いるんだよね。鍵、開いたし。

は、入っちゃえばいいのかな…?