そして…その日の夜。

電話してくれた先輩と、お話した。


前約束を破ってしまったからと、会えなかった日や一緒に帰れなかった日には必ず電話してくれる。

おかげであたしは、不安になることがない。

きっと先輩は分かってくれてるんだと思う。

あのタイミングで先輩がいなくなっちゃったことで、先輩がそばにいないことにどうしようもない不安を覚えるようになったことを…。


『聞いてんの?』


「へっ? あ、はい、はい。聞いてます聞いてます。本当になんでもないんですよ?」


『……』


先輩は、お昼あたしが遅れた理由と…そのとき感じたらしいあたしの変化が気になるらしい。

でも……でもまさか、「彼氏立候補って言われました」とは言えない。

なんでもないで通すしかないのだ。


「あの……先輩」


『…ん?』


「もし迷惑とかかけちゃったらごめんなさい」


槙野くんには正直に言ったほうがいいと思うんだ。

それを決意して、そう告げた。