色々言いたいところだったけれど、ぐっと飲み込んだ。

先輩に言ったって仕方ない。

こういうのにかけちゃあたしは絶対に先輩に勝てないし。


「なんか……色んな噂が飛び交ってますよね」


「……そうだな」


まあ…あれだ。

人の噂も七十五日っていうし、夏休みが終わった頃にはきっと、みんな忘れてるよね!


……といいなっていう希望だけどね。



「…先輩それ以上かっこよくなんないでね」


「なんだ? そりゃあ」


だってだって…。

今だって、こんなかっこいい人が彼氏なんてなんてーかおこがましいっていうか…。

ましてみんなに知られちゃって、ほんとは「あんな子が」って思ってる人もいるかもしれない。

そしたら、これ以上かっこよくなっちゃったら「あの子になら勝てる」ってなっちゃうかもしんないじゃん!


「なにをヘンな妄想してんのか知らねーが…」


「へ、へんって…妄想って…」


「お前、自分で思ってる以上に可愛いから」


「!!」


かっかっかっ……!!

さ、さらっとまあ…ほんとにもう…。


…ていうかそれじゃあ、あたしが自分のこと可愛いって思ってるみたいじゃない?

自分で思ってる以上にーって。