…なんてことに…。


「方向性変わってきてるじゃないの」


「あいたっ」


自分の妄想にサーッと血の気が引いてきたとき、ぱかんと頭を殴られた。


「き、きょーこ…」


「久しぶりだわよその妄想癖も」


あ、あはは…。


「さ、ほら。早く準備しちゃいなさいな。先輩待ってるんでしょ?」


「あ、うん…」


そうだったそうだった。


今は帰りの準備中。

いつも早い先輩のことだから、先に帰れっていうメールもないってことはきっともう待ってる。

教室の半分以上はもういなくなってるしね。


「じゃあね杏子! またね。美紅ちゃんと一緒にどっか行こうね!」


「はいはーい」


大きく手を振って、小走りに駆け出した。


校舎を出るまでの間にも…。


「あっ。澤村さんよ」


「あの子が? 可愛いじゃん。相手があの篠原龍樹じゃなきゃなー…」


「あの天然娘オトすなんてさすがだわ…」


…などと、ひそひそ話は絶えなかった。