…?

ヘンな先輩…。


「朝っぱらからなーにイチャついてんのさ」


「うにゃあ!?」


ぽんっと肩を叩かれ、ぴょんっと体を跳ねさせる。

慌てて振り返ると、腰に手を当てて仁王立ちする杏子だった。


「き、杏子…」


杏子でよかったと思うと同時に、見られてたのかと恥ずかしくなる。


「め、珍しいんだね! こんな時間に…」


「まーねー。それよりあんた、朝帰りなんだってー?」


「え?」


あ、朝帰り…。

ていうかなんで知ってんの!?


「携帯に電話しても出ないから心配してたのよ」


あ…。

そ、そういえば…メールに返事もしてない…。


「そんで家に電話したら、えらく沈んだ那智さんが出てきてさ? 『悠由が……悠由があぁ~!』…とか言い出すのよね」


大袈裟に仰け反りながら那智兄の真似(らしきもの)をする。

あたしは内心、冷や汗タラタラだ。


「まーあんたのことだから色々あったんでしょうけど、あの人怒らすと怖いわよ~」


さすが杏子ですな…。

那智兄の恐ろしさ、よく分かってらっしゃる。