途端、耳をつんざくような怒鳴り声が響き渡る。


『六時半っつったろ! 今度はどこいんだ!!』


「あの…」


『あのじゃねえ! あの……あ? 男?』


「……」


『……』


しばらく互いに沈黙が続き、ようやく。


『すみません。間違えました』


えらく落ち着いた声でそう言うと、ブツッと電話は切れた。

そしてすぐに、また電話がかかってくる。

今度はどうすべきかと思ったが、もう一度出てみた。


『悠由!! てめぇ今どこいやがんだ!』


またも、耳をつんざくような怒鳴り声。

しかも何気に口が悪くなっている。


「あの……」


さっきと同じことしか言えない俺。


『だからあのじゃねえっつってんだろ! だから…だか……あ?』


「……」


口を開きかけた瞬間、『すみません。間違えました』とまた電話が切れた。


……いい加減笑えるんですけど。

さすが悠由の兄貴だな…おもしれぇ。