――龍樹サイド――


困った……。

なんでこいつこんな泣いてんだ?


正直俺は、悠由の涙にめっぽう弱い。

もし誰か泣かせたんだとしたら、男だろうが女だろうがぶっ飛ばさないと気がすまねえ。


…とか言っていても、俺のせいという可能性もあるわけで。


「悠由?」


なにを聞いても、ひたすら首を振るばかりで答えない。

でもこの様子なら、原因は俺じゃあねーな…。

とすると……?


「ふあ~~んっせーんーぱーいぃ~~…」


泣き方がまるで子ども。

ちょっとでも可愛いと思ってしまった自分を、とりあえず一発殴っときたい。


落ち着くまでしばらく、なだめながら抱きしめた。




三十分後、ようやく治まった様子の悠由。


「落ち着いたか?」


「……うん…」


泣き疲れたのか、俺の脚の上に座り、頭を胸元に預けている。

左手でしっかりと服の裾を握っているのがまた可愛い。


横抱きにした悠由の、濡れたまつげが妙に色っぽい。

衝動的に喰ってしまいたくなる。