「で…。謹慎言い渡されたわけ」
「はい……」
六時を一分でも過ぎたら承知しないと…。
いや、なんとも。
ママは必死で笑いをこらえるだけだしね…ふっ…。
「やっぱりあんたとこの兄貴はシスコンだわ。相当の」
翌日、学校で話すと杏子は大きくため息をついた。
…ま、学校からまっすぐ帰ればいいだけの話だけれどね。
あたしは部活もしてないし、余裕だと思う。
「でもさ、由那ちゃんに関してはそうでもないよね?」
「まあ……。でも、大きくなったら分かんないよー? 由那ってば那智兄のこと大好きだから、可愛くて仕方なくなるかも」
父親みたいな勢いで「嫁には出さん!!」…とか言い出したりして。
くふふっ。想像しただけでおかしい…。
「気持ち悪い顔してないの。そんなん先輩に見られたら、百年の恋も冷めるわよ」
本当に気持ち悪いものを見るような顔で、しっしっと手を振る杏子。
すんごい失礼!!
反論してやろうとしたとき、「そうでもねーぜ?」という声と共に、肩に手が回ってきた。
「!」
「十年の恋は冷めなかったしー」
「槙野! 離しなさい!」