「悠由ー……さん」


月曜日、顔を合わせるなり声をかけてきた翔くんはまた、杏子の睨みに縮こまる。


「翔くん」


少し、戸惑った。

縮こまる翔くんを見ていると、昔の彼を思い出す。


「和泉さ、過保護じゃねえの?」


「アンタに対して警戒するのは当然よ」


ふんっと鼻息荒く腕を組む杏子。

いがみ合う二人をなだめてるあたしって…。


「…俺がどんな思いで―…」


聞こえないくらいに小さく、でも、たしかに何か呟いた。


「なあに?」


聞き返すと、慌てたように両手を振り「いや! なんでも」と笑ってみせた。


「……?」


微かに首を傾げると、早々に椅子に座った。


「……今日も行くわけ? あいつのとこ…」


続いて隣に座った翔くんが、ぼそっと呟くように問う。


「あいつ? ……あ…あ、うん…」


うん、と言ってしまってから、しまったと思った。

言わないほうが……よかったかな?

でも、どうせお昼になれば分かることだし…。