――翌朝、那智兄の拳骨で目を覚ましたあたし。


「いつまで寝てんだコラ」


じんじんするおでこをさすりながら時計を見ると。


「……」


えーと。


「那智兄。時計がだいぶ進んでるよ」


「日本全国共通で今この時間だ」


十一時!?

うっそまじで!?

まじでとか言っちゃったよあたし。

めちゃくちゃ動揺してるよ!


「わわわどうしよう!」


と、とりあえず着替えよう…。

あ、その前に先輩にメールをー…。

いや、電話で謝ったほうが…。

…いや、そんなこと考えてる間に準備を!!


先輩との約束の時間はなんと十一時。

この時点で遅刻決定なのだ。


なんであたしっていつも、先輩を待たせてばっかなのーっ!?


「なんだお前、どっか行くのか?」


慌てて昨日悩みまくって決めた服を取り出すあたしに、ベッドに勝手に座って呑気に聞いてくる那智兄。


「約束十一時なの!」