そのうち先輩が、自分のを食べ終わったらしく横から箸を伸ばしてきた。

どんだけぼーっとしてたんだあたし…。


「…はむっ」


「あ」


先輩が箸で刺した卵焼きを、ぱくっと口に咥えた。


「……」


負けじと今度はから揚げをつまもうとする。

なんか……可笑しい。


つい、声をあげずに笑った。



そうして楽しいひと時を過ごし……た?




「じゃあ……」


お弁当箱を持って軽く頭を下げ、屋上を後にする。

教室に向かう途中の廊下で、槙野くんに会った。


「あ、槙野くん」


「おー澤村。またどっか行ってたのか……ん?」


「?」


じろっと手元を見られ…首を傾げる。

どうしたのかな?